公開: 2023年3月28日
更新: 2023年4月16日
山田昌弘は、著書、「希望格差社会」において、日本社会が階層化され、その社会階層が教育制度によって、親から子へと継承されるようになっていることを述べ、それが日本社会の階層間格差を生み出すと指摘しました。それは、親の収入が高いほど、有名大学への進学率が高まり、高学歴であることが、より高収入が約束される職業に就き易い環境を作るため、結果的にその子供達が、よい高い教育を受けられ易くなるとする考え方です。
このような格差の理論は、古くからヨーロッパ諸国の社会学者が指摘し、研究してきた問題です。山田は、従来は、社会階層が明確に規定されていない日本社会にはないとされていた、社会階層間の移動の困難さによる社会階層間の固定化が、日本の社会にも現れ始めていると指摘しました。とは言え、一般の社会階層でも、江戸時代に武士であった階層の人々と、商人であった階層の人々と、大半を占めていた農民であった階層の人々との間には、地位、所得、職業、教育の格差は、明治時代にもありました。
山田昌弘著、「希望格差社会」、ちくま文庫(2007)